民法T・契約の成立

契約の成立〜法学部生向け民法

 

 

 

法学部生向けに民法T・契約の成立について簡単に整理したいと思います。

 

 

大事なポイントは3つ、約束と契約の違い、申込みと承諾、隔地者間の取引です。

 

 

では書いていきます。

 

 

参考文献 民法T 第4版 内田貴

 

 

 

 

契約と約束の違い

 

 

まずは契約と約束の違いについて抑えます。

 

 

契約と約束の違いは、一言でいうと、法的に扱うレベルなのか、それとも道徳的レベルにとどまるのか?ということにあります。

 

 

 

例えば、Aさんと、Bさんで遊ぶ約束をしました。確かに約束は、守らないといけないものですが、この約束を破ったところで、法的効果が発生するか?しませんよね。約束は破ったところで、周りからの非難を浴びるだけ=道徳的レベル

 

ということです。

 

 

これに対し、例えば、Aさんと、Bさんが家の売買契約をしました。しかし、Bさんは、いつまでたっても家の代金を払ってくれません。

 

この時に、AさんはBさんが返してくれるまでひたすら待つしかないのか?そんなことはありませんよね。Aさんは、裁判所にBさんを訴えることができます=法的に扱うレベル

 

ということです。家の売買が、約束のレベルだったら困りますよね(^_^;)

 

 

 

約束は、破ったところで、怒られるにすぎませんが、契約は、民法が定める法律上の制度なので、そうはいきません。法的な拘束力が発生します。

 

 

 

契約の成立〜申し込みと承諾

 

 

契約の成立には、必ず、二つの表示された意思(意思表示)の合致が必要になります。

 

 

この表示された意思のうち、合意を成立させるための、最初の意思表示を申込み、申込みに対する、OKの返事を、承諾といいます。

 

 

民法Tの基本ですので、意味と一緒に抑えましょう。契約の成立には、申し込みと承諾が必要です。

 

 

申込み

 

申し込みの定義

 

☆相手がそのまま受け入れるという意思表示(承諾)があれば、契約を成立させるという、意思表示。

 

 

申し込みの定義はこんな感じですが、ではこのような場合は、どうでしょう?

 

 

 

Aさんの家の近くの、コンビニに、自給1000円で、スタッフ募集と書いてあったので、Aさんは、喜んで応募しました。さて、この場合にコンビニの広告は、申し込みとといえるでしょうか?

 

 

答え

 

→もし、コンビニの広告が、申込みだとすると、Aさんが応募した時点で、契約が成立するということになります。

 

 

しかし、普通なら、コンビニ側が、Aさんの能力や、人柄を見てから採用するかを決めるはず。

 

 

ということは、これは、申込みではない。

 

 

逆に、Aさんが、申し込みをして、コンビニ側が承諾をしたとみます。

 

 

 

じゃあコンビニ広告は?

 

 

→これは、申し込みの誘引と考えるのが適切です。

 

 

※申し込みと申し込みの誘引は間違いやすいので、注意しましょう。

 

 

 

承諾の定義

 

承諾は申し込みの内容をそのまま受け入れて、契約を成立させる意思表示のことを言います。

 

 

 

隔地者間の契約

 

 

対話者間契約と現実売買

 

 

対話者間の契約とは

 

申し込みに対する応答がただちになされる契約を、対話者間の契約と呼びます。

 

例、電話で、契約がその場でおこなわれる場合

 

 

現実売買とは

 

申込に対する承諾がその場でなされ、契約成立とほぼ同時に、履行(支払)が行われる売買を特に、現実売買と呼んでいます。

 

※売買契約でない場合は、現実売買とは呼ばないので、注意してください。

 

例、スーパーでの買い物

 

 

契約の成立〜法学部生向け民法

 

 

 

隔地者間の契約

 

隔地者間の契約=対話者間以外の契約ですね。申し込みに対する応答がすぐされないものです。

 

 

ポイント

 

 

 

・隔地者に対する申し込みの意思表示は、相手に到達して初めて効力を生ずる(民法97条)

 

 

隔地者間の契約の申し込みは、到達主義

 

申込みだけでは、契約は成立しません。ですので、発信しただけで、効力が発生させても仕方ないので、民法は到達主義をとっています。

 

 

 

 

・隔地者間の契約における承諾の意思表示は、発信したら効力が生じる(民法526条1項)

 

 

承諾は、発信主義

 

もし、到達主義にしてしまうと、例えば、郵便なんかで、OKの返事を送ると、ミスがあって届かなかった場合など、リスクを負うことになります。

 

申し込みに対する承諾の意思がある時点で、両者の意思は合致している点とあわせて、発信の時点で効力が発生した方が良いというのが、民法の立場です。

 

 

おまけ

 

隔地者間=到達主義の条文は、民法制定時に作られたもの(古い)なので、現代の状況に対応できていないという指摘もあります。

 

現代の状況から、考えると、郵便のミスは少ないですし、インターネットなどの取引で、素早く、ほぼ同時に契約が成立するようことがほとんどです。この状態から考えると、到達主義の方が良いのではないかことになり、議論のあるところです。