心裡留保とは

心裡留保〜法学部生向け・民法解説

 

 

 

 

民法Tで習う、心裡留保を法学部生向けに解説したいと思います。

 

 

ただ、意思表示についての予備知識がないときついので、知識に不安がある方は、こちらの記事を読んでみてください。

 

 

民法 意思表示〜法学部生向け解説

 

 

では書いていきます。

 

 

※参考文献 民法T 内田貴 第4版

 

 

 

心裡留保・簡単解説

 

 

心裡留保とは

 

 

定義

 

心裡留保=意思表示の表意者が、表示行為に対応する意思(効果意思)のないことを、知りながらする単独の意思表示

 

 

これだけだとなんだかわかりませんね(^_^;)

 

 

つまり、簡単に言うと、心で思ってることと、違うことを相手に言う。そして、この時に内心で思っていることと、言ったことが違うのを本人が知っている状態です。

 

 

 

典型例をあげてみます。

 

 

Aは、自分の10万円のギターを、貧乏なBには買えるはずがないと思って、10万円で売ってやるよと言ったら、Bはどこからか、10万円をそろえて持ってきた。

 

 

典型的な心裡留保ですね。Aは心に思ってないことをBに伝え、それを知りながら行っています。

 

 

さて、この場合、売買契約は有効になるでしょうか?

 

 

 

で、答えにいくまえに、ちょっと前回のおさらい。

 

 

意思表示における民法の学説は、意思主義(表意者の内心を重視)と、表示主義(実際に表示された意思を重視)があり、

 

 

この二つを状況によって使い分けているのが、民法の立場でした。どちらを採用するかで、心裡留保が有効か、無効になるかが変わってきます。

 

 

では、心裡留保で、採用されるのは意思主義、表示主義どちらでしょう?

 

 

 

 

、心裡留保で採用されるのは表示主義です。

 

 

よって心裡留保は、原則、有効ということになります。(民法93条)

 

 

心裡留保では、心で思った事じゃなくて、実際に言った言葉や、行動が重視されるので、Aさんが心で違うことを思っていても、やっぱなしって言えないんですね。

 

 

 

心裡留保は、なんで表示主義なのか?

 

 

理由は、もしこれが、意思主義だったらどうなるかを考えると理解できます。

 

 

もし、意思主義だと、Aには、表示行為に対応する意思がないので、この意思表示は無効になります。

 

 

しかし、これが、無効になってしまうと、Bは困ってしまいます。

 

 

Aを信頼して、せっかく10万集めてきたのに・・・予期せぬ損害を受けることになります。

 

 

これではあまりにもBさんがかわいそうですよね(^_^;)

 

 

そこで、Bさんの信頼を保護するために、原則として、心裡留保は有効、(表示主義)だと、民法93条で規定されています。

 

 

民法・93条本文

 

意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

 

ということになります。

 

 

 

 

さて、これで終わればよいんですが、例外があります。民法93条のただし書きです。

 

 

 

民法・93条但し書き

 

 

ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

 

 

例をあげてみます。

 

 

EX、上のケースで、Bさんが、普段からAが冗談でこのようなことを言う人だと知っていたとき

 

 

これでも、Bさんの立場を保護する必要があるでしょうか?

 

 

 

答え、この場合は、Bさんは、保護されません。意思主義が採用され、無効になります。

 

 

なぜなら、Bさんには、信頼を裏切られたという不利益が発生しません。Aの性格を知ったうえで、やったんですから(^_^;)

 

 

また、これ以外でも、Bが、Aの言っていることが冗談(真意でない)と普通、気づくはずなのに、気づかなかった時=過失が存在するときも、無効となっています。

 

 

94条の「又は知ることができたときは」の部分ですね。

 

 

Bにも責任がある以上、保護する価値のある信頼ではないからです。

 

 

Aが普段、冗談をついてばかりなのに、Bさんがこれを予想できなかったときや、だれが見ても明らかに冗談なのにBさんが気づかなかったという場合ですね。

 

 

 

最後にワンポイントアドバイス

 

 

☆ちなみに、法律では、知らない=善意、知っている=悪意といいます。上の例で行くと、Bさんがちょうど善意ですね。

 

 

すると、心裡留保が成立するのは、相手方が善意・無過失の時

 

 

=知らない+一般的な注意を怠っていなかった時であるということができます。

 

 

※善意・悪意、無過失・有過失は民法だけでなく、法律では、よく使う言葉なので、覚えておきましょう。