民法900条・4項は違憲?

婚外子(非嫡出子)の相続差別は違憲か?

 

 

 

 

婚外子、違憲問題と言うのは、簡単に言うと、正式に結婚している子(婚内子)と,そうでない子(婚外子)の間で、

 

婚外子の取り分が婚内子の2分の1と、相続を定めた民法900条・四項の規定は、違憲ではないかという問題です。

 

 

※婚外子を、非嫡出子(ひちゃくしゅつし)と呼ぶこともあります。

 

 

法学部生の人なら、この話をどこかで聞く人も多いのではないでしょうか?

 

 

婚外子の相続問題を整理してみたいと思います。

 

 

 

婚外子の相続・議論を整理する

 

 

まず、問題の民法900条・四項を見てみましょう。

 

 

 

民法900条・四項

 

四  子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。

 

ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする

 

 

婚外子は、普通の子と比べて、相続が、2分の1になってしまうのが、わかります。

 

 

半分しかもらえないんですね。現在の民法の規定だと(^_^;)

 

 

でも、これ子供側からみると、子供は親を選べないのに、市役所に紙を届けていたかいないかの違い(事実婚かそうでないかの違い)で、半分になってしまうのは、不公平・差別扱いだと感じますね。

 

 

 

じゃあやめればいいじゃんという話になりますが、簡単にそうは言えないんです。

 

 

家族と言う制度が問題の根本にあります。

 

 

家族は、私的な空間であると同時に公序良俗(安全で秩序のある社会を保つ)に不可欠な問題であるからです。

 

 

私的な空間だというのは、いいと思いますが、じゃあ、公序良俗ってどういうことでしょう??

 

 

 

⇒⇒⇒例をあげると、「一夫多妻制の禁止、苗字を同じにしなければならない、近親婚の禁止、」

 

などなど、正当な家族秩序・公序良俗を守るために、民法でさまざまなことが規定がされています。

 

 

その中の一つに、婚外子の問題があるので、意見が対立ことになるんですね。私的な面だけで決めるわけにはいかないからです。

 

 

 

さて、ここまでがだいたいの流れです。

 

 

ここからは賛成派と反対派の具体的な意見を整理していきます。

 

 

 

賛成派

 

 

子供個人に罪はないのだから、相続を平等にすべき

 

 

責任を取るのは、親であって子供ではない、民法900条の規定は、責任を子供に転化しているだけだという意見です。

 

 

憲法14条に反して違憲

 

上の意見を憲法14条・法の下の平等で根拠づけた感じです。

 

 

憲法14条・一項

 

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

 

・「すべての物は社会的身分によって差別されない」という部分にあたるはずです。

 

生まれてくる子供が親を選べないことを考えれば、民法の相続差別の規定は、法の下の平等に反し、違憲なのでは?ということが言えます。

 

 

 

憲法13条に反して違憲

 

憲法13条

 

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

 

・全ての人間は、個人として尊重されるわけです。子供であっても当然それはかわらず、一個人として最大限尊重されます。

 

よって、相続に違いを設けた、民法900条4項は、憲法13条に照らし、違憲では?ということになります。

 

 

 

時代による家族観の移り

 

現代の日本人において、家族に対する考え方は変わってきているといえます。

 

日本全体の意見として、家族よりも個人の自由を重んじる傾向になってきており、民法の相続規定は、もはや、時代に適合しない、遺物であるという意見です。

 

 

 

子供の権利条約違反

 

これは、権利の面から考察した場合ですね。子供にも当然権利があります。

 

具体的に言うと、子供の権利条約2条で、出生によって差別されることはしてはいけないと定められています。

 

 

 

参考 

 

子供の権利条約・2条

 

締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。

 

 

国際人権規約

 

日本が入っている、国際人権規約に照らしても違反では?という意見です。

 

国際人権規約でも、すべての人は、出生によって差別されることはないと規定されているので、民法の相続規定がそれに反するのではという話になります。

 

参考

 

国際人権規約(B規約)・第26条 

 

すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。

 

このため、法律は、あらゆる差別を禁止し及び人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する

 

 

 

 

反対派

 

一夫・一婦制の崩壊

 

日本では、もちろん一人の夫に対して、一人の妻となっています(民法732条・刑法184条)

 

もし、婚外子と婚内子の相続が平等になってしまうと、不倫を法律が認める、一夫多妻制を、実質的に法律が認めることになってしまうのでは?という話になります。

 

 

民法の法律婚主義を尊重すべき

 

民法では、一夫一婦制でお分かりのとおり、法律婚が定められています。法律による結婚を尊重しようというものです。

 

これに対し、相続規定を認めてしまうと、正当な家族秩序の崩壊につながり、民法の法律婚制度、そのもの意味が失われてしまうという意見です。

 

 

・日本古来の家制度の伝統を重視すべき

 

時代が変わってきているといっても、日本の家族間は大事にしていくべきだという態度です。この意見は時代の流れに真っ向から背いているので、ちょっと無理がある気もします。

 

 

・婚内子の方が心の傷がおおきい

 

どちらかというと、感情的な意見ですが、婚内子は、親が他の人と仲良くしているのを見ているわけで、婚外子よりも、より大きな傷を負っているから、相続に差がついて当然であるという意見です。

 

 

 

婚外子の規定は差別ではなく、どちらがより重要視されるのかという問題である

 

 

これは、婚外子と、婚内子の規定を差別と捉えるのでなく、どちらがより、手厚く保護されるべきなのか?

 

という問題で、結果、婚外子の方が手厚く保護されているだけだという話で、別に違憲ではないという意見です。

 

むしろ、2分の1の財産を保障しているので、これは差別規定ではなく、婚外子にも配慮を置いた規定で、差別には当たらないという意見もあります。

 

実際に、1995年の最高裁ががこの立場をとり、合憲の判決を出しています。

 

 

参考リンク⇒11995年7月5日 最高裁判決 裁判所・HP

 

 

 

裁判所の見解

 

ついこの前、裁判所の新しい見解が出たばかりですよね。2013(今年)の最高裁判所・大法廷で、婚外子の問題に、違憲判決が出ました。

 

全会一致による決定的な判決であることからも、以後、法律が改正される流れになっていくと思います。

 

 

この時の、最高裁判所の判決は、法の下の平等に照らした場合、差別規定に合理性があるとはいえず、出生による差別規定は法律上認められないとし、

 

また、家制度についても、旧来のなごりであり、現代では重視されるものとは言えないという感じに判断して、婚外子の相続規定を違憲としました。

 

参考リンク⇒最高裁・平成25年(2013年)9月4日決定  裁判所・HP

 

 

 

まとめ

 

婚外子の問題を考えるときに重要なポイントは、法律婚主義VS法の下の平等

 

が一番のメインになると思います。時代の流れもありますが、個人の権利と、全体の秩序どちらが優先されるべきなのか、ということを抑えておくとよいはずです。

 

 

僕の意見としては、子供が親を選べないという、どうしようもない理由によって相続規定が異なるのは、明らかな憲法14条違反であると考えます。

 

この場合は、子供の事情が事情なだけに、家族秩序が個人より優先されるということは、あってはならないと感じますし、責任転嫁を子供にしているだけのように感じるので、

 

そうである以上、国の最高法規である憲法に、うわまって民法の法律婚主義を採用するのは、無理があると思います。

 

みなさんはどう考えるでしょうか。